
水虫とは〝白癬菌(はくせんきん)〟と呼ばれる真菌(糸状のカビ)の一種が皮膚に寄生することによって起こる皮膚病です。
白癬菌は他のカビと同様、ジメジメした環境を好むため、特に高温多湿になりやすい足の指や股(指と指の間)に住み着きやすいと言われていますが、場合によっては〝かかと〟にも寄生することがあります。

足の水虫(足白癬)は、大きく4タイプに分類することが出来ますが、かかとに発症するタイプの水虫は、主に〝角質増殖型〟です【下記:写真ⅠⅡ】。
角質増殖型の水虫は、足裏全体(特にかかとを中心)の皮膚が厚く硬くなり、痒みも少ないのが特徴です。
そのため、かかとの水虫は自覚症状のない方もおり、単なる乾燥肌による肌荒れと勘違いしてしまっている人も少なくありません。

冒頭でも軽く触れましたが、水虫とは白癬菌と呼ばれる真菌が皮膚に寄生することで発症する皮膚病です。
したがって、水虫と思われるかかとの部位に白癬菌が寄生していない場合は、水虫以外の皮膚病(例:疥癬、紅色陰癬…など)であることが考えられます。
もし、あなたのかかとが水虫以外の病気であった場合に水虫治療薬を使ってしまうと、かえって症状を悪化させてしまう恐れもあるので、水虫と思しき兆候の見られる方は、できれば一度、専門医に診てもらう(皮膚科では感染していると思われる患部の皮膚を採取し、顕微鏡で検査することで白癬菌の確認をします)ことをおススメします。
※ 特にかかとに発症する角質増殖型の水虫は、痒みが少なく皮膚が厚く硬くなるのが特徴でもあることから、専門医でも目視では判断できないケースもあるようです。
疥癬
(カイセン) |
ダニの一種が皮膚に寄生して起こる皮膚病。感染した患部にプツプツとした水疱などができ痒みを伴う。足裏などに発症すると目視では水虫との区別が難しい。 |
掌蹠膿疱症
(ショウセキノウホウショウ) |
主に手のひらや足裏に発症する膿をもった発疹がみられる皮膚病。周期的に良悪を繰り返す難治性の疾患と考えられている。 |
汗疱
(カンポウ) |
多汗症が原因ではないか?と考えられている皮膚病。手や足裏に水ぶくれのような湿疹ができ、痒みを伴なったり皮がボロボロと剥けることがある。 |
老化 |
加齢(概ね更年期以降)とともに皮膚が厚く硬くなる老化によるカサツキ。病気ではない。 |

通常、水虫の治療には〝抗真菌薬〟と呼ばれる薬剤が使用されます。
この抗真菌薬には「内服薬タイプ(注射薬も含む)」と「外用薬タイプ」の2種類に分けることができますが、近年、注目されている治療効果の高い抗真菌薬は〝イトラコナゾール〟や〝テルビナフィン〟〝ラノコナゾール〟などです。
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主な抗真菌薬 |
作用 |
従来 |
グリセオフルビン |
白癬菌の繁殖を抑える |
近年 |
イトラコナゾール(イトリゾール)
テルビナフィン(ラミシール)
ラノコナゾール |
白癬菌を死滅させる |
※ 副作用が起こる場合もあるので、服用の際には必ず医師の指導に従ってください。

飲んで治すタイプの抗真菌薬(ラミシール錠など)は、皮膚科等で医師の診断を受けなければ服用することは出来ません。
そのため、塗り薬ではあまり効果がないとされる爪水虫患者などは、外用薬よりも服用タイプの水虫治療薬を検討してみることをおススメしますが、爪水虫など外側からでは薬効成分が浸透しにくい症状を除き、比較的、軽症の水虫に対しては、軟膏タイプ等の外用薬で治療を試みるのが一般的なようです。
現在、『ラミシール』や『ピロエース』といった商品名で、テルビナフィンやラノコナゾール配合の水虫治療薬(外用薬)が市販されているので、かかとの水虫治療薬として利用することが出来ますが、難治性の水虫の場合は、飲み薬と外用薬とを併用しながら治療を行った方がよいとされています。
※ かかとに白癬菌が寄生していない場合は、水虫以外の病気(疥癬など)が考えられます。もし仮に水虫以外の皮膚病に対して水虫治療薬を用いると症状が一向に改善しないばかりか、場合によっては悪化させてしまう恐れもあるので、自己判断で水虫治療薬を使う前に、できれば一度、専門医に診てもらうことをおススメします。 |
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足水虫は4タイプの病型に分けられる?
足水虫(足白癬)は、大きく4つのタイプに分類することが出来ます。
小水疱型
主に足裏や側面に発症する水虫。小さな水泡が点々とみられ、場合によっては、この水泡が破れて皮膚が剥けることもある。
角質増殖型
足裏全体の皮膚が硬くなり慢性化した水虫。厚くなった角質層がひび割れて見えるのが特徴のひとつでもある。痒みが少ないので自覚症状のない方も多い。
趾間型
足の指と指の間に発症するタイプの水虫。皮が剥けたり皮膚が白くふやけて見え痒みを伴うのが特徴。
爪水虫
白癬菌が爪に感染した場合に発症する水虫。痒みを伴わないケースも多く、自覚症状のない方も少なくないが、通常、感染部の爪が白く濁って見える。爪の中に入り込んだ水虫を、そのまま放置しておくと症状が悪化し、爪がもろくボロボロと欠けることもある。 |
スイッチOTCってなに?
いままで医療機関でしか処方が認められていなかった医療用医薬品のうち、薬局で購入できるようになった医薬品のことをスイッチOTC薬と呼びます。
スイッチOTC薬として販売が許可される医薬品は、副作用が少なく安全性の高いものに限られますが、医療の現場で実際に使われている効果の高い薬が市販薬に配合される時代になりました。
ちなみに、水虫治療薬『ピロエース』シリーズには医療用抗真菌剤ラノコナゾールが、一方『ラミシール』シリーズには医療用抗真菌剤テルビナフィンが配合されていることから、スイッチOTC薬に該当します。
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